「お前なぁ!」
漸、ありがと。
「漸、本当に大丈夫。ありがとう」
そう言って手をブラブラさせる。
こんなの、痛いうちに入らない。
「……で、説明しやがれ、てめえら」
祐介が不機嫌そうにいう。
あ、放置してた。みんなのこと。
「あー、うんと。路地入ってバイク3台だけになったとこで、バットを奏に向かって投げたんだ。
でも、俺守れる状況じゃなかった。でも、こいつ、腕で防ぎやがった。で、鉄パイプも飛んできてな。
そしたらそれ掴みとったと思ったら、バイクに後ろ向きに乗って鉄パイプ、白鬼の運転してるやつの首に当てて、そいつ手元狂ってぶっ倒れたと思ったら、後ろの1台も巻き添えになっちまって……。
てな感じで、2台いなくなった」
「はぁー、うんま」
あたしは、飲んでいたジュースを飲み干す。
「……奏ちゃん、本当に?」
祈織が心配そうにあたしに聞く。
「うるさい虫が居たから、振り払ってたらなんかそうなっちゃったね」
「…お前、馬鹿にしてんのか」
祐介があたしに言う。
「ったく、腕見せろ。祈織、救急箱」
怒られると思ったのに応急処置してくれる祐介。
「俺らは、お前を本気で守りたいと思ってんだ。変な真似すんな。バイクだって、バイクから落ちたらどうすんだよ。心配かけるな」
あたしが、白鬼をやったのには目もくれないであたしの心配をする祐介。