「バイク2台は…?」
「それがな……」
首をかきながらあたしに目を向ける。
「勿体ぶんなよ漸」
宗がむずがゆそうにいう。
「バットと鉄パイプ飛んできてな」
「は?お前話が読めねえよ!」
「あ!そういや、お前」
漸が何かを思い出したように、あたしに近づく。
バッ
あたしの腕を見る。
「…っ」
ヒビだけだよ。
でも、赤くなってるな。
「お前、病院行くぞ」
漸が真面目な顔で言う。
「あたし、そんなに柔じゃないし。これ、ヒビだけだよ。」
「ヒビだけだよじゃねえよ。飛んできたバット防いだんだ。折れてたっておかしくねえだろ…!!」
漸の目、すごく悲しそう。
漸も苦労してる人なんだな。優しい。
「えへへ」
「なに、笑ってんだよ」
あたしが嬉しさに微笑むと、漸は顔を赤くする。
「あれ?あたしの腕より、漸の顔の方が赤いよ?病院行ってきたらー」
馬鹿にしたように言って、冷蔵庫からジュースを取り出す。