翼に ―大切な敵―





「君、転入生か何か?見たことない顔だけど」



「うん。そう」



「へー、何年?」



「1年」



「え」



一言だけ呟いて固まるメガネ。



「なに?」



「同い年かと思った」



「てことは、年上?」



「うん。俺3年」



「へー。」



「あ、俺の名前、桜舞祈織(サクマイオリ)。君は?」


「逢沢奏。祈織ね、よろしく」




あたしが、祈織の前に手を差し出す。


「…年上だって分かったのにタメ口だし、握手?帰国子女かなにかなの?」


驚いた顔であたしを見る。
あー上下関係が分からない。


あたし、ずっと上だったし。



「あー、ごめん。帰国子女ではないけど、敬語苦手なの。タメ口じゃあだめ?」



「ふはは、全然いいよ。よろしくね奏ちゃん」