翼に ―大切な敵―




お前が俺の名前を呼ぶと、全部見透かされているような気分になる。


ゾワッと真を貫かれたように。



「お前」



「何してたの?」



祈織やつ、教えやがったな。



「ねえ、何してたの?」


「煙草吸ってただけだ」



「じゃあ、屋上でいいじゃない」


「るせえよ」



うるさい。
今は黙っててくれ



「そ。」



そう、軽く答えるとクルッと俺に背を向けて走る。


自由な奴だな。
俺も馬鹿だ。


構ってほしいのかそうじゃないのか。



「なあ」




「ん?」

首だけこっちを見る奏。




「お前、何を背負ってる」



「…い…もの」




俯きながら何かを話している奏。


俺にはその声は届かない。




「え?」





「空っぽだよー」




微笑みながら声を張り上げる奏。