「あたしはピンピンだよ」
「じゃあ?」
「あたしの大切な人がいるの」
「男か」
どんどん祐介の表情が暗くなっていく。
「うん」
ここで嘘ついてもしょうがない。
けど
「なんで、みんなまで固まるの」
祐介は眉間にシワ寄せてて、漸は誰もいないのに壁ドンしてて、宗は椅子から転げ落ちて、祈織はマグカップ片手に目を真ん丸にして、夏輝はコップにジュース入れたまま固まるから溢れてる。
「……奏ちゃん彼氏いたの…」
祈織が言う。
「彼氏……かぁ。」
「違うの?」
「彼氏ではないよ」
付き合ってないもんね。
「じゃあ、奏ちゃんの片想い?」
「うーん。豪の気持ちは分からない」
あ、名前出しちゃった。
「聞いてみてないの?」
「話せないようにしちゃったの。起きないようにしちゃったの。あたし」
「え……」
「よし、この話はやめよう。暗い」