翼に ―大切な敵―




「……ん、ちゃん……奏ちゃん」




「んっ」


目を覚ますと、病室。


そして、日が落ちた外。


心配そうにあたしを見つめる幸さん。



「あ、すいません。寝ちゃって」



「いいえ、いいのよ。豪も喜ぶわ。でも、うなされてたから。」



「幸さん……、夢の中で声がしたんです」



「え?」



「豪の声で。記憶にない言葉で。お前から会いに来てくれるここは好きだぞって」



「本当に?」



「でも、泣くなって。泣くと抱きしめたくなるからって」



そう言いながら涙が溢れる。




「…あら、そう。全くあたしには何も話しかけてくれないのに。もう」




幸さんも涙ぐんで、怒ったように言う。




「豪、あたしにもかけなさいよー。奏ちゃんが大好きなのは分かるけどっ」



ぷりぷりと怒る幸さん。すっごく可愛い。


愛されてるな。豪。