翼に ―大切な敵―




一度だけ、女と二人で買い物しているのを見た。



豪とその人は仲良さげに腕を組んで歩いていて。


豪はあたし以外の前であんまり笑わない豪が、その人の前では自然に微笑んでいた。


すごく、綺麗な女性。
大人っぽくて。



『奏!ボーっとしてんな!』


その時は喧嘩中だった。

あ、喧嘩中だった。やばい。


豪には迷惑かけてばっかりだな。
俺のことはただの手の掛かる子供だと思ってるんだろうな。



そんなこと考えて



………完璧な隙。



自分の無責任な事で仲間を、大好きな人を傷付けた。



『奏!』



「え、、、」


その瞬間に俺の体は前に吹っ飛んだ。




『豪さん!』

『くそがぁあ!!』



『豪!』



最後の宙也の豪を呼ぶ声でハッとして、後ろを振り返る。




「豪……?」



『っ……奏、怪我ないか?…ぅ、ぁ』



豪の晒が深紅に染まる。


顔を歪めた豪は倒れた。



「怪我、なんかしてない。豪……豪………」



相手の族にナイフを持ってる奴がいるなんて事は極稀れにある。


それを自分の行動で、犠牲を出した。
集中していればこんなのよけられた。
コンクリートの地面が紅に染まってく。



「……宙也、救急車」


「じゃあ」



「こいつらは俺一人で十分だ。もう、他の奴らに怪我させられねえ」




「でも、お前……」



「早く、早く豪を…っ!!!」



その後30分ぐらいで全員を倒した。