翼に ―大切な敵―





「豪」


名前だけ呼んで手を握る。



ピクッ



握り返してくれた。

そう思いたいけど


動かないから筋肉がなんかなるんだったよね。



「豪、ありがとう。心配しないでね。って言っても豪のことだから心配してそうだけど。」





豪、……帰って来て



そう思いながら手を握る。


筋肉の落ちた腕。


昔は血管が浮き出てて、少し焼けてた。



こんな姿は、豪が一番辛い。

だって男の人だもんね。



強くありたいよね。


「豪、大好きだよ」



今になって言えるようになった言葉。

もっと早くから言えるようになっていたかった。

ごめんね。