翼に ―大切な敵―





「多分、もらってばかりで豪も返したくて仕方が無いと思うわ」



「そうですかね。」



あたし、今まで豪にたくさんもらってばかりだった。


それに、物ではない大切なものももらった。


だから、あたしは物しかあげられなくてなんか嫌。



すると、お母さんは電話をしに席を外した。



「豪、あたし物しかあげられなくてごめんね。それと、最近女言葉うまいと思わない?あ、でも、豪の前では素でいっか。」



そう言って昔みたいな楽な話し方をする。


「昔、鳳龍っていたじゃん?で、あの鳳王って男。あいつにさ、今の高校で会ったんだ。すっげー、落ち着いた。でも、曲がってなかった。……まあ、俺には気づいてねえけど」



多分今頃呆れたように笑ってんだろ。


「あ、笑うなよ。でも、俺が辞めたことにあいつ気が付いたらどうなっちまうか。それに、守りたいって鳳龍の奴らが言ってくれてさ。でも、その気持ちが辛くて突き放しても離れてくれねえんだ。」



どうすればいい?


「なんか祐介見てると豪見てるみたい」



いつもは整然とした顔して、あたしのところに来るときは汗かいてたり、息上がってたり。


ああ、心配してきてくれたんだって。


心配しなくても俺は大丈夫なのに。


まあ、祐介の場合俺の本当の姿しらないんだけど。