翼に ―大切な敵―





「おい」



靴を履いて歩きだそうとすると、出入り口の壁に寄りかかってる男子生徒がいた。


夕日の逆光で顔が見えない。



いや、あたしに話し掛けてるわけじゃないかな。


そう思い、その人の隣を通り過ぎる。


「おい、逢沢奏」



フルネーム呼び?

あたしか。



振り返ると今度は夕日の光でそいつの顔が照らされる。


「あ、夏輝」



「ちょっと来い」



そう言ってあたしの腕を引っ張る。


「ちょっと夏輝。どこ行くの」



「秘密だ」



「デート?」




「はっ!?な、何言って」



あたしの顔をバッと振り返って見る夏輝。



顔真っ赤。
純粋ね。君。


「ふふふ。違うの?」


「違うに決まってんだろ!」



「本当はしたいくせに。まあいいや。で、どこ行くの?」


「〜〜っ。倉庫だよ」