翼に ―大切な敵―






お願い。
もう、翼龍はいないの。


君の憧れはこんなやつなんかじゃないよ。


もう、忘れてくれ。





なんて、逃げたい気持ちが募る。
祐介の真っ直ぐな目があたしを射抜く。




「奏?」



1度あたしは逃げたもんね。
2度逃げる事なんて許されないし、あいつに怒られる。




「その人の前に早く立てるといいね。あたしには分からないけど」



「おう。さっきはすまなかった。……睨んで」



恥りながら、俯く祐介。



「大丈夫。そんなに柔じゃない。それに、今助けてくれたし」



「そうか。」



「うん。じゃ」


そう言って背を向け歩き出すあたし。



逃げてるわけじゃない。
いつか、真正面に立つから。


翼龍として。

君が一人前になったとき。




_____…そして、謝るから。




『約束はちゃんと守れよ。な』



豪。ちゃんと守るよ。

お前との約束守れなかった分。