翼に ―大切な敵―





夏輝を見ると分かる。
まだ夏輝は昔の祐介みたいだ。

夏輝は黒髪。
ピアスもしてないし、制服を着崩してる訳でもない。
だから、あたし気づかなかったんだ。族って感じがしなかったから。


その後ろでパンを片手に、口の中に残骸も残ってるのに口を開けてる金髪。


汚い。
なんだっけ、漸だっけかな。

その隣で漸ほどの阿呆面ではないけど、口を空いてる赤毛の宗。



背は大きい方から漸、祐介、祈織、宗、夏輝くらいかな。

夏輝は170丁度ぐらいだと思う。

あたし、165だからちょっとしか違わない。




「あれー?もしかして、転入生の奏ちゃん?」



甘ったるい汚い声で話しかけてきたツンツン。


ブリーチしすぎて髪傷んでる。
ニキビ跡もやばい。
んで、匂い。


本当に香水付けすぎ。



あたし、鼻が効き過ぎるほど効くの。



だから、さっきの祐介たちの香りもパンの香りも全部分かる。


全部が混ざって、吐きそうになる。



「え、無言って。ひどいなあ。一応先輩だよ?俺」



ゲラゲラと笑う男。


すると


「お、転入生の子じゃーん」



ゾロゾロと集まり始めた男たち。



最悪。
廊下になんて突っ立ってたあたしも悪いんだけどさ。