「全国No.1の羽龍、9代目総長の翼龍さんいるでしょう?」


「はい」


なんで、伝説の翼龍が出てくるんだ?



「その人、あんまりこだわりとか持たない人なんだけど、鼻が敏感らしくてね。男ばかりの倉庫の匂いとか、そういう体臭みたいなのが嫌でベルガモットの香水を配ったらしいんだ。で、翼龍のメンバーは皆ベルガモットの香りがするってわけ」




「じゃあ……」


「ただの偶然か、翼龍のメンバーか、翼龍の女とかかも知れねえな」


「祐介が睨んでも、普通だったもんね」


「あ?」


「別に祐介の眼力がないとかそんなじゃあなくて、ただそういうのに疎いか、族とかが近くにいるとかそういうのじゃあないかなあ。ってね」



祐介さんは不機嫌。
それに対して微動だにせずに淡々と話す祈織さん。



「そういえば、夏輝が鳳龍だって言った時の嫌な顔したあれってそういう関係なのかもな」



宗さんが考えながらいう。

漸さんはパン食ってる。
この人本当に平和な人だな。
喧嘩は殺す手前までやる人だけど。


「まあ、これから仲良くしていけば分かるでしょう。俺、教室戻るね」




その祈織さんの声で、また昼食を再開した。