翼に ―大切な敵―





「お前、分かりやすいな」

「そんな感情的なやつだったんだ」


漸さんと宗さんが俺をからかう。



「違います。美人なのは認めます。けど、今は違うことを考えていたんです」



「「ふーん」」



こういう時だけ、息がぴったりな漸さんと宗さん。


その後ろで笑いを堪えている祈織さんと、俺を遠い目で見る祐介さん。



俺はいじられキャラでもなんでもないんですけど。



「でーも、あの子只者じゃあないね。」


「はい」


祈織さんが微笑んで屋上の入口を見据える。



「……あいつ、微かだがベルガモットの香りがした」


ベルガモット、柑橘系の香り?
目を伏せて言う祐介さん。

「それがどうしたんです?」




「あ、夏輝に教えてなかったっけ。」



祈織さんが、首をかしげて説明をはじめる。