翼に ―大切な敵―





あげたくないか。

俺、目覚まし替わりにしやがったからなあいつ。


起こさねえで来たけど。


バァーン




ん?なんの音だ。




音のする方を見ると、


屋上の入口のドアは重いはずなんだけど、あの女は片手で乱暴に開けやがった。


手首壊すぞ、ってぐらいに。



「堺夏輝、挙手」



は?



全員が口を開ける。



「いないの?ならいいけど」




そしてドアを閉めようとする。



「いるよ!夏輝なら」



あ、俺を売りやがった、祈織さん。



「…?あ、祈織」




逢沢奏は、祈織さんを呼び捨てにし、祈織さんに近寄る。



「どこ?」




「ここ」



そう言って俺を指差す祈織さん。