翼に ―大切な敵―




「ふふっ」


「何笑ってんだ」



でもやっぱり、先生だから大人だね。


殺気を調整してる。



「先生のことはなめてないよ。生まれつきなの、本当に。ちゃんと教わらなかったし。教われなかったし。」



ちょっと悲しんだ演技をする。


「すまん。嫌なこと思い出させたな」


やっさしーっ。


「えへへ。優しいね、拓真は。さっきのは嘘。徹允さんに一応教えてもらってる」




「あ、そうか。って、てめえ呼び捨てで…!!」




ガラッ



拓真を置いて1-Aの教室の戸を開ける。



黒板の前に立って、拓真を待つ。