翼に ―大切な敵―





「お前」



理事長室から出て、菅先生が歩きながらあたしを呼ぶ。

「ん?」



「理事長にあんなこと言わせてるのかいつも」



「いつもじゃあないよ。ああいうブラックジョーク好きな人なの。徹允さんは」



「あの顔からして想像できねえな」



「そうだね」


「ていうか、お前」



「なに?」



「その自然なタメ口なんだ。」



「うーんと、生まれつきこう」


「あぁ?」



あ、怒っちゃった。
舐めてんじゃねえぞガキ。


って目で言ってる。