『てめえ…』
唇の端を切り、右目のまぶたが腫れ、左足は骨折したのか、片足で立つ男。
「お前、強いよ」
強い、こいつは
そう思った。
『てめえ、ナメめてんのか』
勘違いするな。
「喧嘩じゃねえぞ。目だ」
『目?』
「腐ってねえ目だ。その真っ直ぐな目のまんまでいろよ」
「……」
あいつからしたら、全く意味不明なことだと思う。
でも、あたしが見てきた中では真っ直ぐで強い目だ。
でも
「でもな?もっと大人になんなきゃ行けねえな」
男に近づき、額をコツンと殴る。
フラフラな男にとっちゃあ、でかい力。
後ろに倒れた。
「周り、見てみろ」
そいつの周りには呻いたり、動かない仲間たち。
「次、俺の前に立ちたきゃ、仲間を守れるような強い男になれ」
『っ…』
仲間を見て眉間に皺を寄せ悔しそうに切なそうに俯く男。
仲間思いの優しい男だ。
「じゃあな」
『待て』
男に背を向け、歩き出すあたしに声をかける男。