点滴の針を見てるだけで痛々しいくらいに細い腕に刺し、口には酸素マスクをつけている。 酸素マスクは曇ったり曇りが消えたりしていて、規則正しく呼吸していることが分かる。 今日も愛しい彼が、何事もなく眠っている。 病室に来るといつも言う言葉を、今日は日海に先に言われてしまった。 「パパ!たらいま!」 日海は痩せた彼の頬をツンツンとつつく。 その姿に暖かい気持ちになって、ふっと笑う。 そして私も彼に近付き、日海の後ろから優しく彼の頭を撫でる。 「…理人(まさと)、ただいま」