「俺の女になるなら、これまでのことはチャラにしてやるよ」
私が後ろへ下がった分だけ、目の前の男は距離を詰めて来る。
なんで私が……!
そんなの、願い下げだよ。
「い、いえ。遠慮しておきます。私は悪くないですから」
そっちが勝手に入って来ようとして、勝手にひっくり返って気を失ったんだから。
「ほーお。この俺に逆らうとは、いい根性してるな」
ーーキーンコーンカーンコーン
運が良いのか悪いのか、こんなタイミングで予鈴が鳴った。
だけど、今の私たちには関係ない。
目の前の男は、それを気にも留めてないんだから。
「俺に逆らったらどうなるか教えてやるよ」
や、やばい。
逃げなきゃ。
目の色が変わったのを見て、本能が逃げろと告げている。



