生まれた赤子はヴァニラ・ヴァレンティアと名付けられ、何事もなくすくすくと育った。
だが、民や皇城の者はヴァニラに怯えており、口を開けばヴァニラの事しか話さなかった。
ーあぁ、あの子はいつ覚醒するのか。と。
_____「ねぇ、とぉ様、何で皆様は私を怖い目で見るの?」
雪がしんしんと降る中、皇室にてギルバードの膝の上で問いかけ、私、今日誕生日なのに……お祝いしてくれたの、とぉ様だけ…とこちらを向き涙目で呟いた。
その言葉にギルバードは悩んだ。
『どうしたものか…何も知らないこの子に真実を伝えるべきか……いや、伝えたらサクエが何というのか…済まない、ヴァニラよ…。』
「済まないなぁ、ヴァニラ……とぉ様が不甲斐ないせいで…。」
『人一倍、お人好しのヴァニラの事だ。これぐらいの嘘でも信じてくれるだろう。全てサクエの為なのだ。ごめんな。』
__ギルバードは、そうして国を担うであろうヴァニラに真実を伝えず、妻の事だけを守った。
だが、民や皇城の者はヴァニラに怯えており、口を開けばヴァニラの事しか話さなかった。
ーあぁ、あの子はいつ覚醒するのか。と。
_____「ねぇ、とぉ様、何で皆様は私を怖い目で見るの?」
雪がしんしんと降る中、皇室にてギルバードの膝の上で問いかけ、私、今日誕生日なのに……お祝いしてくれたの、とぉ様だけ…とこちらを向き涙目で呟いた。
その言葉にギルバードは悩んだ。
『どうしたものか…何も知らないこの子に真実を伝えるべきか……いや、伝えたらサクエが何というのか…済まない、ヴァニラよ…。』
「済まないなぁ、ヴァニラ……とぉ様が不甲斐ないせいで…。」
『人一倍、お人好しのヴァニラの事だ。これぐらいの嘘でも信じてくれるだろう。全てサクエの為なのだ。ごめんな。』
__ギルバードは、そうして国を担うであろうヴァニラに真実を伝えず、妻の事だけを守った。
