「高瀬?」






「い、嫌よ!」







え?





思わず見た





俺が嫌で嫌で、ずっと避けてた





久しぶりにちゃんと見た姿は







少し歳をとっていた








「誰にも、渡したくない……………






息子を、賢人を……………………










愛してる」








「………………っっ」








「良かった……………中野くん、ちゃんと泣いてる」






高瀬がそっと俺の頬に触れる






俺、泣いてる?







触れる手が優しい












「この涙を拭えるのは私じゃないね」





「高瀬……………」







「でしゃばって、ごめんね






私もお母さんのあの顔を見なかったら言わなかったよ






仲直りして、なんて直ぐには無理だと思うけど……………






中野くん、ちゃんと愛されてるよ」







「…………………っっ」






「じゃあ、」





「え?高瀬?」






「私、帰るね





中野くん、ちゃんと話して」





「…………………わかった」






「生意気言って、すみませんでした」





高瀬は頭を下げて出ていく





俺たちは「また明日ね」と言って






「高瀬さん!ゆ、優菜ちゃん!また、ね……………」






あの人……………母が恥ずかしそうにそう言うと





高瀬は嬉しそうに笑った