「う、うるさい」


恋する女の子は可愛いわ。

早く気づいてあげて、緑井くん。

心の中で呼びかけた。


と、視界に突然瀬戸くんが、入ってきた。

「歩成ちゃん、やったじゃん。マジですごいよ…がんばったな」


髪をくしゃくしゃっとされて、私の髪は乱れてついでに私の心まで乱された。


ドックン…

大きな鼓動。


もう…ダメかもしれない。

誤魔化しきれなくなる…


ボサボサの髪のまま瀬戸くんを見つめる。


子どもみたいなキョロキョロとよく動く瞳は、笑うと少し大人びて吸い込まれそうに綺麗で。

通った鼻筋。

大きく開けて笑う口。


「や、やめてよ…」


髪を手で直しながらそっぽ向くと、


「あ、怒った?」

顔を傾けて…不安げな顔。


あぁ、もうやめて。

ギブ…