青い春の真ん中で

「授業始まるからそろそろ行くね」

真紗希は立ち上がってスカートのパン屑を遠く離れたところではたいて、


「じゃあね」

と、手を振って教室へ帰って行った。


「真紗希って…どんな子なの?」

芽衣は、

「んん…とね」

しばらく考えて…


「1つ上にお姉ちゃんがいたと思う。2人ともスラッとしてて、顔も美人」

「え?じゃあ3年にいるの?」

驚く私に芽衣は首を振った。


「すごい頭良くて。違う私立の高校に通ってるらしいよ」

「へぇ…」

お姉ちゃんがいるんだ。


「真紗希ちゃんが中学3年の時に、お姉ちゃんが有名私立高校に入ったから前にも増して居心地悪いって言ってた」

お姉ちゃんにコンプレックスがあったのかな。
だから強そうな者に惹かれたのかな…

「美人で人目を惹くけど、あんまり前に出るタイプじゃない感じだったかな」

お姉ちゃんと比べられてきたのかな。うちは妹の方が華があって比べられてきたからなぁ。


「自信…ないのかもね。自分のいいところなんて、案外自分にはわからないから」

私にも自分のいいところ全くわからない。みんなそうなのかな。