昨日の海に投げ飛ばされる事件もあり、私と芽衣は警戒を強めながら登校。


階段を上っていると、後ろから誰かが駆け上がってくる。

まさか…沙由奈?


恐る恐る振り向くと、

「お、風邪ひかなかったみたいじゃん」

その姿と声に体の力が抜ける。

瀬戸くんだ。

「うん…」

私の目の前を通り過ぎで行く瀬戸くんを目で追う私と横目でこっちを見た瀬戸くんの視線がぶつかった。

瀬戸くんの手が伸びて私の頭にそっと置かれた。


私は声すら出ずに、なされるがまま。

頭をぽんぽん…ってして立ち去っていく瀬戸くんの後ろ姿をぼんやり見ていた。


しばらく固まった後、隣で芽衣が赤い顔で私を見る視線に気づいた。


「今…頭ぽんぽんってした?キャー」

芽衣の言葉に、思わず顔が熱くなってきた。


興奮冷めやらぬ芽衣が目を丸くして、

「ちょっと、やっぱりなんか瀬戸くん…歩成ちゃんに優しいよね?」

足をジタバタさせて言った。


私は耳まで熱くなってる。

それに気づいてもっと熱くなる。


「そ、そんなわけないでしょ?」

ムキになる私に、芽衣はクスクス笑った。