緊張の朝。

「もう行った?」


2階に上がってすぐの角にしがみつく蝉のような私と芽衣。


「あ、やばい。こっち見た」

振り向いた沙由奈と木田さんの動きに合わせて壁に張り付く。


「あ、セーフ。気づいてない」


壁ギリギリのところから沙由奈達を見つめる私達。


「え?何?忍者ごっこ?」


振り向くと私の後ろに身を縮めてこっそり隠れる瀬戸くん。


「いや…ごっこっていうか。瀬戸くん何してるの?」


冷静な私達の顔を見て、忍者ごっこをやめて普通に立ち上がる瀬戸くん。


「そんなコソコソしなくていいじゃん」


生意気な少年のような表情で私と芽衣を見る。



「それはそうなんだけど…」


痛いところをつかれた。


勝ち誇ったような顔で瀬戸くんは教室へと歩いて行った。