階段を駆け上がって、さっきぶつかった有輝と瀬戸くんを追い越して走り去る。


「あれ?歩成ちゃん⁈」



瀬戸くんの声がしたけど、そのまま駆け上がった。



屋上の扉を開けて勢いよく屋上に出た。


私と芽衣は屋上に寝転がるように倒れ込んで上がった息を整える。



「ふ、ぷぷっ」


隣で浅中さんが震えている。



「え?」

驚いて声をかけようとすると、


「ぷはははっ。あーあはは」


突然笑い転げ出す。



「な、何?」


体の力が抜けた。


「ふふふ…」


私もつられて笑い出す。


私達は涙を流しながら笑い転げた。



「ごめんね、私のせいで。カラオケ…」


「ううん」


私と浅中さんは向き合って座り初めてまっすぐ顔を合わせた。


「そのうちわかる…ってこういうことだったんだ。ごめんね、私気づかなくて。でも…会えて良かった…」


「うん…」


あの日のことを思い返しながら私達は見つめ合った。



と、下からあいつの声が…


「芽衣、まだ来ないんだけどー。マジでムカつく。なにやってんの?あいつ」


無駄にでかい声。


浅中さんの鞄からバイブ音がした。


「駄目、電話出ないわ」

「靴もないし帰った?」

下から大きな声が聞こえてくる。


浅中さんの手に靴がある。


「靴、持って来てて良かったね…」


声を潜めて2人ホッとした。


「明日…大丈夫?」


「うん…大丈夫…かな」


明日はどうなるのか。

想像もつかない状況に正直ゾッとした。


「でも、私も一緒だから…」


浅中さんを助けたい。その気持ちと共に、私の居場所が見つかったようなそんな気持ちにもなった。