夕陽に照らされて2つの影が並ぶ。

いつもの帰り道のはずなのに、景色が違って見える。


隣の瀬戸くんの腕と私の肩が当たるところにどうしても、気が行ってしまう。


影を見ながら意外と身長差あるんだな…

と気付いてチラっと瀬戸くんを見た。


並ぶと背高いんだな…

部活後とは思えない爽やかさだな…


キュンってまたなる。


心が風船のように膨らんでる。

「こっち行く?」


防波堤を指さして瀬戸くんが聞いた。

「うん…」


夕陽が反射して海がきれいなオレンジ色。


瀬戸くんと隣り合って座るこの場所で、沙由奈に突き飛ばされたっけ。


あの時、瀬戸くんがタオルを貸してくれたっけ。


「あの…どうして、私のことをその…」


私は核心に中途半端に触れた。


「有輝と別れたとき、ここで叫んでなかった?」


ここ…この防波堤…


はい、叫んでました。


「…えっ⁈」


一気に冷や汗が。

なぜ、知ってるの?

どこで見たの?

そんなあらゆるところから汗が出ている私をよそに瀬戸くんは話し始めた。


「歩成のことよく知らない時は、もっとクールで大人しいって思ってたから。衝撃的だったんだよ。こんな大声で叫んだり、こんな熱い想いを心の中に本当は持ってるんだって…」


あれ、見られてたんだ。

最悪…


うつむく私の頭に瀬戸くんが優しく手を置いた。


「一気に興味が湧いた。歩成のことを見てると、目が離せなくなってた」


芽衣を拉致って屋上へ猛ダッシュしたり、防波堤で沙由奈と取っ組み合ったり。

海に落ちたり…違うクラスに怒鳴り込んだり…


危険過ぎて目離せないわ、そりゃ。