早く有輝にこの場を離れてもらわなきゃ。

瀬戸くんが来ちゃう。


「本当ごめんね。もう、有輝と戻ることはないから…」


短い言葉で単刀直入に結論を出した。


初めて告白してくれた時の誠実さを微塵も感じないよ。

変わっちゃったね、有輝。

できれば、知りたくなかったけど。


「じゃあ…」

話を切り上げようとした、その時…


「歩成のこと1番わかってんの俺だよ?お前けっこう気難しいからさ、合わせるの大変だし。友達もいなかったじゃん…そんなお前とずっと一緒にいたの俺だよ?お前には俺しかいないから…マジで」


手首をつかまれた。


ゾクッ

寒気がした…

ちゃんと言わなきゃ。この人に、説明しなくちゃ。

怖いけど、有輝をまっすぐ見た。

「今は…違うから。友達もいるし、もうあの頃とは違う。有輝のこと好きだったよ、ちゃんと。一緒に過ごせて良かったと思ってる。だけど今はそういう気持ち有輝にはもう持てない」


首を振って否定した。

腕をクルクル動かして逃れようとした時、グッと手首をつかむ有輝の手に力が入る。