恋をしている時、それは頭の中がお花畑で地に足がついてなくてとっても危険な状態。

と、勝手に思い込んでいた自分の方がよっぽど恥ずかしいわ。


自分の今までのこだわりや考え方を変えてでも一緒にいたいと思う人に出会えたことがすごいんだって思う。

そう思える相手に出会って、変わっていくことで自分も知らない自分に出会えることになるんだから。


ずっと変わらず大切にしたいこともあるけれど、恋も友情も、相手がいるからできること。
自分のことばかりが大切じゃ、成り立つわけないんだ．．．


沙由奈のピンク色の頬っぺたを、笑ったときに細くなる瞳を、風に揺れる髪の毛を、すごくうらやましく思った。


大声で悔しがりたいぐらいに。



「沙由奈、すっごいかわいい。沙由奈すごいよ．．．」


沙由奈は照れて私から離れた。



「何？急に！恥ずかしいんだけど」


沙由奈の照れように、笑ってしまう私と真紗希。



「沙由奈見てたら、私に足りないものが何かわかった気がして」


変化していくことを恐れない．．．


私が私自身を檻に閉じ込めてしまっていたのかもしれない。

『私らしい』という枠に。


「なんだかよくわからないけど。話したくなったらいつでも言ってね」


真紗希は優しく笑った。


いつか、ちゃんと言葉にできる時が来たら、話をしようって心に決めた。