なんでこんなところに……?
まさか、愛目ちゃんって…………こっち側の人間だったの!?
驚いて動けずに立ち止まっていると、愛目ちゃんを襲っている男の人のうち1人と目があってしまった。
……うっ。
なんだか、嫌な予感がする……。
「おい……何見てんだよ、てめぇ!なんか言いたそーじゃねぇか、あ"ぁ?」
その声にもう1人の男と愛目ちゃんも私に気づき、愛目ちゃんは驚いたように目を丸くした。
……しまった。
そう思ったけど、もう遅い。
「なんだぁ、てめぇ?文句あるなら言ってみろよォ」
「…………そ、その子に触れないでください」
潰れそうな喉をこじ開けて、震える声でそう言った。
「……あ?もう1度言ってみろ?」
「誰だよこのチビぃ?知り合いかァ?」
何だか気に触るしゃべり方。
それから、私の禁句『チビ』。
ムカムカムカムカ……。
「だ、だから!その子に指1本も、さわらないでよ!!」
「はぁ?てめぇチビのくせに調子のってんじゃねーよ!!このっ……!」
そう言って男の人は手をあげた。
……殴られそう。
でも、こいつ…………すごく遅い。
空手をやっていた私にとっては、このくらいの速度なんて、集中しなくても避けられるよ。
思った通り、振りかぶってくるパンチをさらりと避けた。
「……っ!!て、てめぇ……何避けてんだ!マジでやる気かぁ?あ"ぁ!?」
もう1人の男も、愛目ちゃんのもとを離れ私に向かって来ようとした。
……男性2人掛かりだとさすがに敵わない。
そう思い、私はくるっと後ろを振り返って…………
ドカッ!!!!
痛々しい音が、路地に反響した。