「知ってる?モモってさ、漢字だと“桃”って書くのが普通でしょ?だけど、立花さんみたいに数字の“百”でも書けるじゃん。なんで、“百”だと思う?」
「え……さ、さあ?なんでだろう」
「モモの名前の由来は、沢山の実がなることから、“百”が果実の名前になったんだよ。不思議な名付けだよね」
「へえ……おもしろいね」
なんだか、私の名前の由来を聞いているみたいで少し恥ずかしくなった。
恥ずかしさを紛らわすために、慌てて他の花も見ようと踵を返そうとしたら、何かが足に引っかかって思わずバランスを崩してしまった。
「わわっ!」
ヤバい、倒れるッ……!
と思った瞬間、がしっと腕を掴まれ、何とか体勢を立て直した。
「大丈夫!?」
「あ、危なかった……もう少しで花まで一緒に倒すとおろだった…………っ!!」
ドキッ……
橘くんに掴まれた腕が、なぜかあつくなって。
サッと振り払った。
「あ……ごめん、」
「え、あっ、違うの!そんなつもりはなくて……嫌とかじゃなくて、その……」
助けてもらったのにこんなことするなんて、なにやってるの!
私のバカ!!
口ごもっていると、近くから足音が聞こえ、カラッとフラワーガーデンの入り口が開いた。
「弘也〜、今日も差し入れ持って来たよー!」
振りかえるとそこには、物凄く美人ですらりとした体型の、綺麗な女の人がいた。
「愛目……ありがと」
“うめ”……?