「男として、いや人間としてダメな奴だろ。……そもそも、愛目が元彼がしつこいからケリつけたいって言い出して、あんなところに連れて行ったこと自体が、悪かったのかもしれない。ちゃんと判断して引き止めればよかった……」

「ちょ、ちょっと待って!! 橘くんは、最低な人間なんかじゃない!」

「え…………」



自分を責める橘くんを見ていられなくて、思わず遮ってしまった。



「橘くんは、愛目ちゃんのこと何よりも大切にしている、優しい人だよ……。だって、大切にしているからこそ、ここまで反省できて……自分を、責めきれている」


「…………でも、そんなの……、」


「そんなの、じゃないよ。こうやって一部始終見てたこととか、正直に話すって相当な勇気がいるし、普通の人は黙って隠すはずだよ。だから、だから橘くんは…………」


「ありがとう」



橘くんは最低なんかじゃない、と言おうとしたら、橘くんの優しい声で遮られた。




「俺、大好きな立花さんにそんなこと言ってもらえて嬉しい。もう立花さんは、俺のこと嫌いになったかと思った……」


「そんなことないよ………… って、えっ?」


「……?」



ちょ、ちょっと待って……?



「今、橘くん……何て言った、?」