繁華街を出て、私たち3人は心地よい春風とともに歩いていた。


「愛目、ここからはもう1人で帰れるよね?繁華街からはずいぶん遠ざかったし」

「う、うん……」

「じゃあ気をつけて。またね」

「……また、ね…………」


いつもの愛目ちゃんなら、「え〜やだー、弘也ぁ家まで送ってよぉ」と言いそうだが、今回はさすがにそういう空気じゃないので、素直に帰って行った。




…………てことは?

今、橘くんと私……ふ、2人きり!!!!



ドキッ……



2人きりになった途端、胸の高鳴りが激しくなる。





「……あのさ」


急に橘くんが立ち止まって、私のほうに体ごと向いた。



「ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど……いい?」

「え、あ……う、うん、いいよ!」



なんだろ……すごく、緊張する。



「愛目は俺の大切な友人……いや、親友なんだ。だから、今回の件はすごく感謝しているし、同時に申し訳ないと思ってる」

「いっいやいや!橘くんは何も悪くないし、第1その場にいなかったわけだし……」

「違うんだ!……あのとき、俺は……俺は、本当は一部始終全部見てた」


「…………え、」

「最低だよな、俺って。男のくせに……身長だって人1倍あるはずなのに、怖くてただ立ちすくんでいただけなんて…………。それに、こんな小さな立花さんが立ち向かっているのを目の当たりにしてるのに……最低最悪だ、俺は!!」


くそっ!と橘くんは隣にあった壁に拳をぶつける。