「やば、学校遅れちゃう」


呑気なことを考えているうちにいつの間にか、時計の針は7時53分を差していた


後、7分で朝のHRが始まる


「急がなくちゃ!」



ペダルをこぐ足を早くする



『あいつだ…』


一瞬だったが、そんな声が聞こえたのを陽南は聞き逃さなかった


「え、」


自転車を止めた


『あいつだ、あの女に違いない』

『この妖気、やはり、只者ではないな』

『はやく、殺さねば』

声は聞こえるがその正体はどこにも見当たらない


ひどく、枯れた、その声は、複数で
段々、近ずいてくる


「いたっ‼︎」


何かに引っ掻かれたような傷が腕にでき
そこからは、赤い血がみるみる流れ落ちてくる


逃げようにも体がゆうことをきかない