貴方を忘れない。

ちらりと見えたもの


それは


まさしく



"牙"



ゆっくりと陽南の首筋に近づいてくる




「いや、私殺される」



痛っ、男の牙が首筋に触れたと同時に一気に全身の血が吸われていく



意識が朦朧とする


「こい…つ、吸い…す……ぎ……でしょ……」

喋るのもやっとだ



その時、



『しっかり生きるのよ』



お母さんが最後に言った言葉を思い出した



そうだ、私はお兄ちゃんとお母さんの分まで生きなくちゃいけないんだ