母「純麗、この人が新しいお父さんよ。」

純麗の目の前に居るのは一人の男性。
がっしりした体型に少し長めの髪。
ハンチング帽がとても似合う。歳は母より2歳年上らしい。
とても優しそうな人だ。

純麗「ママ、この人って日本人?」

純麗は小声で母に言った。

母「えぇ、そうよ。とてもきれいな目の色をしているもんね。」
純麗「・・・・・。」

彼の目はとてもきれいなミントグリーン色だった。
そう、聖司と同じ目の色をしていたのだ。

男性「純麗ちゃん、はじめまして。冬井拓矢って言います。よろしくね。」
(ふゆいたくや)
純麗「小泉純麗です。」
冬井「純麗ちゃん、僕にも息子がいるんだ。これから一緒に過ごすし仲良くしてくれるかな?」
純麗「は・・・はい。」

純麗は少し動揺しながら答えた。
冬井「じゃあ、僕の息子を紹介するよ。」

冬井「せいじ、こっちにおいで。」

ドキッ・・・

せいじ・・・か。まさかね・・・。

冬井「純麗ちゃん、紹介するよ。息子の聖司だ。」
聖司「初めまして・・・冬井聖司です。」

うそ・・・・・どうして聖司がここに・・・・・。

聖司と目が合う。
聖司は悲しそうに目をそらした。
その様子を見ていた冬井がすかさず聖司に注意した。

冬井「こら、聖司。純麗ちゃんと仲良くしなきゃダメだろ?」
母「いいのよ、たくやさん。聖司くん、ゆっくりで良いから純麗と仲良くしてくれる?」

聖司は小さな声でそっぽを向きながら

聖司「はい・・・・・。」

と言った。

母「じゃあ、私達これから市役所に行かなくちゃならないの。2人で留守番していて頂戴。」
純麗「えっ・・・。」
聖司「えっ・・・。」
冬井「じゃぁ、留守番よろしくね。」

2人は行ってしまった。
純麗と聖司の周りに沈黙が続く。

聖司「・・・・・ごめん。」

最初に口を開いたのは聖司だ。

純麗「・・・・・意味が分からないよ。」
聖司「2人がいない間に全てを話すよ・・・。」