「つ、付き合うわけないでしょ」



『動揺してる』



少しだけ先生に心が動いちゃったんだもん。


でもそれは本当にあの時だけ。


守られるのに慣れていないから嬉しかったんだ。


ただそれだけ。



「光の事を大事にしてくれる担任じゃなければとっくに佐藤先生に相談しているよ」



『俺の事?』



新山先生が話してくれた入学当初の話しをすると、光は何かを考えるように視線を下げた。



「光?ごめん。何か気に障った?」



顔色を伺うようにして覗き込むと、光は小さく横に首を振る。



『中学の先生は腫れ物に触るみたいにしか接してくれなかった。でも、あいつは違うんだよな』



「さっきも友達みたいなやり取りしていたもんね」



『いい先生』



「そうだね」



『でも彼氏にはしない?』



「しないよ。でもそれが何か関係あるの?光がそういう事気にするの初めてじゃない?」



賭けの対象が私だという理由を聞いて納得したけど、その時は光が嫉妬しているのかも、って思って、何だかすごく胸が熱くなっていた。