蛍と光


「?!」



「長岡、か。お前、ああいうのがタイプなの?」



違う。


でもそんな事先生に言う必要なし。


プイッと顔を背けるとグイッと顔を元の位置に戻された。



「無視すんな」



「痛いな。大体、からかうにもほどがあるよ、先生」



「だからからかってないって」



「ウソだ」



伊達に告白されてきた訳じゃない。


真剣かそうでないかなんておおよそ見当つく。


先生の話しは真剣には聞こえない。



「まぁ確かにからかわれてると思われても仕方ない。俺も中途半端だったから。でもこの写真見たら気が変わった」



そう言って先生が白衣の胸ポケットから取り出したのは1枚の写真。


多分、山田くんに撮られた写真だと思うけど。



「これ…私?」



「本人でも驚くほどの綺麗さだろ」



綺麗って言うより私ってこんな風に笑うの?



「その時、目の前に好きな奴がいたんだろうな。それが誰かまでは想像でしかないが、この視線とこの笑顔を見た瞬間、やっぱりお前を俺のものにしたいって思ったんだよ」



同じような事をついこの前、長岡くんに言われた。