蛍と光


「あぁぁー。嫌だー。嫌すぎるー」



「愚痴る暇があったら解け。学祭終了後すぐに期末がある。それで赤点取ると夏休み中補講だぞ?」



「本当に?!」



「あぁ。知らなかったのか?」



知らなかった。



せっかくの夏休みに勉強なんかしたくない。


ただでさえ去年の夏は高校入試の為の勉強で潰れたんだから。


先生の視線は気になるけど、ここは集中しなきゃ!



…と思って問題に取り掛かろうとした時、外からカキーンという金属音が聞こえてきた。



思わずその音に反応して外を見ると野球部がバッティング練習をしている。



上手いこと打つものだな。



あ、長岡くんだ。



わー。

いいな。ユニフォーム。

青春って感じがする。



「あ」



長岡くんが私に気付いた。


手を振っている。



「ふふ」



周りからすごく変な目で見られてるの気付いていないのかな。



でもなんか可愛くて振り返すと、その手が先生に掴まれた。