ていうか、こういうのが一番嫌なパターン。
どんな形であれ、誰かを傷付けるのは嫌だ。
「ねぇ、好きなの?嫌いなの?」
まだ知り合って間もないんだからそんな事分からないよ。
「もし本気で好きじゃないなら仲良くしない方がいいんじゃない?」
どうせ振るんだから、って言葉まで聞こえた気がした。
でもここで「はい、分かりました。長岡くんとは仲良くしません」って言うのは変だ。
かと言って「仲良くして何がいけないの?」とも言えないし。
どうしよう。
とその時、頭上から大きな声が聞こえた。
「青柳が誰かの事を好きなはずねーだろ」
俯いていた顔を上げるとそこにいたのは白衣の教師。
「新山先生」
「青柳の場合、恋愛なんかに時間を割いてたら留年しちまうよ。な?」
違うけど、ここは先生の言葉に乗った方が得策だ。
コクリと頷くと先生は満足そうに笑う。
「いいか。お前らも留年したくなかったら恋愛ごっこにうつつを抜かしていないでしっかり勉強しろ!学生の本分は勉強だ!分かったら授業はじめるぞー」
そう言ってから私の頭にポンと手を乗せた先生を見上げると、すごく優しい視線で微笑まれた。
その笑顔に胸がきゅうっと締め付けられた感じがしたのは一体何だったんだろう。


