「青柳ーっ!」



翌朝。


いつも通り、靴をローファーから上履きに履き替え、教室へ向かおうとした所で、鬼の形相の新山先生が現れた。



相変わらず声が大きい。



光に分けてあげて欲しいくらい。



ていうか、私、朝から怒鳴られるような事をしたかな?



個人的にはしていないつもりだけど、ひとまず挨拶だけはしておこう。



「おはようございます」



「ん。おはよう」



おぉ!

挨拶で正解だったみたい。



怖い顔が消えて、イケメンに戻った。



そのおかげであっという間に後ろから来た女子生徒に囲まれ、私の逃げ道が出来る。



「あ、おい!コラ待て、青柳!何どさくさに紛れて撤収しようとしているんだよ!」



あー。

またイケメンが鬼になったせいで、可愛い女子高生ハーレムが解散しちゃったよ。


逃げ道も無くなったし。



「お前、何か忘れているだろ?」