『長岡に蛍の連絡先聞かれたけど本当に教えて良かった?』



光の部屋の扉を開けたままベッドの上でマンガを読んでいると、予備校から帰って来た光が肩を叩いてから話し掛けてきた。



「あ、お帰りー。早かったね。長岡くんの方は大丈夫だよ。さっきメール来たから返信した」



『長岡となんか関係あったっけ?』



「告白されて友達になった」



『へぇ。珍しい』



私もそう思う。


だからこそ胸がもやもやしてる。


本当にこれでいいのかな、って思う。



「そうだ。光から見た長岡くんってどんな人?」



『なんで?』



「よく知らないから」



『そうだな。爽やかな野球青年だけど、変な奴って感じかな』



「そう言えば光の筆談を集めているような事を言ってたよ」



『ああ。意味分からないよな、あいつ。俺、詩人じゃないのに』



あ、光が笑っている。



「山田くんも変なだけど面白いよね」



『あいつは限りなく馬鹿だな』



また笑った。