蛍と光


その声に振り返り視線を向けると、真っ直ぐ私を見つめる長岡くんと目が合った。



「こんな風に人を好きになったのは初めてだから」



声色とともに表情がさっきまでとは全然違う。


真剣な男らしい表情にドキッと胸が一度大きく跳ねた。



「入学式の日、水城に笑い掛けている青柳さんを見た瞬間、その笑顔を俺に向けて欲しいって思った。一目惚れだと思う」



「一目惚れ?」



「うん。でも、正直、水城には敵わないと思ってた。青柳さんが誰とも付き合わないのは密かに付き合っているんだと思ってたから。でもこの前、水城が青柳さんのこと、ただの幼馴染みだって言ってたの聞いて、それなら他の誰かに取られる前に気持ちを伝えようと思ったんだ。俺を意識してもらうために」



「ありがとう。でも…」



「誰とも付き合わない。それはどうして?」



「…ごめん。言えない」



誰にも話していない事をほぼ初対面の人に話すなんて出来ない。