「学祭の準備をしてるところを撮るんじゃないの?」
ごもっとも。
あのバカ。
完全に目的を履き違えていやがる。
そういうの、蛍は許さないぞ。
眉間に皺を寄せた蛍が山田に向かって歩いて行く。
「えっと…何くんだか知らないけど、今、みんなで頑張って準備しているところだから、写真撮るならみんなの写真を撮って」
「俺、山田です!」
「じゃあ山田くん」
そう言うとググッと山田との距離を縮めた蛍はニコッと笑い「みんなの事、綺麗に撮らないと許さないから」と言って去って行った。
恐るべし、蛍。
大丈夫か、山田…
完全に骨抜きにされたな。
蛍の笑顔なんて見慣れたものだったけど、あんな危険なものを持っていたなんて。
笑顔を向けられた訳でもない長岡まで固まってる。
…って、ん?長岡まで?骨抜き??