「ほら、水城、行くぞ!」
俺のネクタイを引っ張る山田に負け、しぶしぶ立ち上がると「俺も行く」と後ろの席に座る長岡が立ち上がった。
「長岡は部活だろ?」
「俺もちゃんと手伝うよ。部活は5時から行くし。ほら、行こう」
長岡は野球部のエース。
名門校から推薦が来ていたほどの選手だとかで期待されているから学祭の準備より部活を優先していい、って言われていたはずだけど、ちゃんと学祭を手伝うなんて真面目な奴だな。
下心いっぱいの山田とは大違い。
「失礼しまーす!写真撮らせて下さーい!」
「げっ。また来たよ」
声を掛けただけで女子から白い目で見られる山田は一体、何回蛍のクラスに顔を出しているんだろう。
「あんたどうせ青柳さん撮りに来たんでしょうけど、残念でした〜。青柳さんは今、買い出し中でいませーん」
「えぇー…フゴッ!」
あからさまに残念、みたいな声を出す山田の口を俺と長岡で押さえ付け、彼女らに笑顔を向ける。


