ちょうど去年の今頃、家庭科の授業で型紙通り切って縫えばいいだけのエプロンを作る事があった。
あの時、上手くいかずにどんどん短くなっていく布を見た家庭科の先生の悲惨な顔と蛍の慌て様は思い出しただけで笑える。
「おい、水城。何笑ってるんだよ?」
蛍を思い出していたせいで山田の存在を忘れていた。
俺は蛍の事となるとどうしても頭がいっぱいになってしまう。
このクセは直さないといけないな。
「なぁ。この学ラン水城の?」
『そうだよ』
「やっぱりかー!!」
そう山田は叫ぶと急に首を絞めてきた。
苦しい事をアピールするために山田の腕を何度か叩くと離してくれたけど、なんなんだ、一体。
「クソォ。ずりーよ。あんな可愛い子が幼馴染みなんて。つーか本当に幼馴染みなのか?付き合った事ないの?近くにいたら絶対好きになるだろ?」
好きは好きだけど…


