蛍と光


言っている意味がサッパリ分からない。


先生が話しているのは日本語だよね?

英語じゃないよね?



「お前、彼氏は?」



「いませんけど」



「だよな」



じゃあ聞くなよ、って言いたい。

ニヤっと笑う顔もなんかムカつく。



「先生こそ彼女いないんですか?」



「今はいない」



「同じじゃん」



「一緒にすんな。俺様クラスのいい男はその気になれば恋愛なんてお手の物なんだから」



「へぇ。それなら…先生が恋愛通のいい男だと言うのなら、一つ聞いてもいいですか?」



「おう。いいぞ。何でも聞け」



「どうしたら告白をされずに済みますか?」




「…」




あれ?


先生の動きが固まった。


何でも聞けって言ったから聞いたのに。


お手上げ、という感じで両手を挙げ、首を何度か横に振っている。



「お前ってやつは…女の敵だな」



「女の…敵?」



「告白されたくてもされない奴が多いのに、なんつー贅沢な悩みだよ」



そう言われてしまえばお終い。


先生に聞いたのが間違いだった。



「もういいです。それより早く補習始めましょー」