なるほど。


これは現実で、突然の呼吸困難、王子様との別れは幼馴染みの水城光(みずきこう)の仕業って訳か。



「寝てる人の鼻を摘むとかナシだから」



『俺の部屋の俺のベッドで俺のいない隙に勝手に寝る方がナシだから』



ああ言えばこう言う。



「せっかくあと少しでキ…」



『き?』



「キリンに乗れたのに!」



『はぁ?』



すごくバカにされてる感じがするけど、キス出来たのに、なんて光の前では恥ずかしくて言えない。



いつまでもガキみたいな夢見てるんじゃない、って馬鹿にするから。



『寝るなら自分の部屋で寝ろよ』



「光の帰りが遅いからいけないんだよ」


光はついふた月ほど前に高校入試を終えたばかりなのに、もう次の大学入試に備えて予備校に通っている。



主席入学の重圧か、それともただの勉強バカか。

それとも…



「予備校って居残りしたくなるほど楽しいの?可愛い子がいる、とか」



『バカじゃねーの。勉強しに行ってるんだ。そんな不純な動機で行ってないし、楽しいとかじゃない。それより早くそこをどけ』