蛍と光


「なんて…なんて生意気な女なんだ…」



「でも先生には感謝してる」



「あ?」



「光の事。クラスに溶け込ませてくれてありがとうございました」



「コウ?あぁ。水城のことか。そういえばさっきあいつと青春していたよな?もしかして恋人か?」



「まさか。光は大事な大事な幼馴染みです」



「ふーん。大事な、ねぇ」



生まれてから物心つくまでの記憶はないけど、物心ついてからの記憶の中には常に光がいる。


光なしで私の16年は語れない。



「なぁ、あいつ。どうして話せねーの?」



「え?」



先生の言葉に驚いて顔を向けると、本当に知らないという顔をしている。


校長先生辺りから聞いていると思ったのに。



ていうか、失声症という病気だと知らずに光をクラスに溶け込ませたって訳?


クラスメートに病気の説明をせずにどうやって…